monk13’s blog

個人的な雑記帳です。うそ書いてたら指摘してくださいませ。

フッキングのすすめ(授業を行う上での工夫@導入時)

お疲れさまです。monk13です。

 

授業やプレゼンテーションで、聴き手が全然こっち向いてないときありません?

おしゃべり、いねむり、スマホに夢中。

そんな悲しい空間はいやだ。

 

 

そんな悲劇を打破したいアナタにアドバイスを。

心に夢を君には愛を。

アルジャーノンには花束を。

まえがき

おいおい。おいおいおいおい。

学生がその場で雑談してるのに、放っておいてそのまま話をはじめるなよ。

と大学の授業を受けているとよく思います。

 

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そういった先生方は往々にして、授業における本論展開もほめられたものではありません。

もちろん彼らのお心持ちは察します。おそらく聴き手を見限っているんでしょう。

 

「どうせこいつらは話をきかない」と。

 

私が通っている大学では、聴き手(学生)の民度が極端にひくいです。

もちろん私を含めてですが。

授業中でも友人と雑談をナチュラルボリュームでかましたり、

スマホを隠すことなく机上でLINEポップする猛き者どもが教室の半分程度を占めます。

このとき「授業では先生の話をきく」というルールに基づき考えるなら、

聴き手が悪です。

 

ただ一方で「聴き手が話をきけるように、話し手は援助すべき」

という膨張ぎみの責任感で考えるなら、

話し手が悪です。

 

基本的に、問題の原因を内的要因に帰属させる傾向にある私は、

今回のケースでは後者の考え方をとります。

雑談をやめてスマホを置きたくなるようなおもしろい授業、

これをすることが先生の勤めやろと。

 

「知ったくちをきいてんちゃうぞ。ほな、どないせいと。」

と先生にキレられたなら、どのように回答するか。

これが今回のおはなしです。

概要

今回お話するのは、授業・プレゼンを開始するとき、導入時の工夫です。

授業の導入部分を工夫することで、聴き手にはなしを聴く体勢を整えてもらおう。

というのが目的です。

 

授業をすすめていく中でも聴き手の意識をキープする方法はありますが、

それはまた別の機会に説明させてください。

今回は導入部分に焦点を絞ります。

授業をするならまずは「導入」を工夫すべし。

 

お話は以下の順で、すすめていきます。

  • 問題:聴き手は聴こうとしない理由
  • 理想:話を聞きたいという状態
  • 解決方法:導入時にフッキングを実行

問題(聴き手が聴こうとしない理由)

授業・講演・プレゼンなどある程度まとまった量の情報を多くの聴き手に伝えるとき、

その冒頭(話し出し)が大変重要です。

通常、話の冒頭では、まだ彼ら聴き手は話を聞くことに意識が向いておらず、

準備ができていないことが少なくありません。

これが聴き手が全然こっち向いてない問題の根幹です。

 

運動する前にストレッチや準備運動をスキップして急に体うごかしても、

上手くうごけないし、運動についていけなかったりしますよね。

話を聴くこともそれと同じなんです。いきなりこまかな説明されても頭はついていきません。

授業やプレゼンもコミュニケーションです。

普段の会話を思い浮かべれば、だれでも経験があると思いますが、

話し手と聴き手の呼吸・テンションがお互いにずれていると、

その間に生じるコミュニケーションは冷え切った寂しいやり取りとなります。

 

・スポーツについて熱弁をふるった結果、心ない相槌を彼女からもらう彼氏

・会社のゴシップを真摯に彼氏に伝えるも受け流される彼女

 

こういったときには自分のテンションやはなしのテンポを調節しながら、

相手の気持ちをほぐしていきますよね?(てか、いきましょうね。)

聞いてもらいたいことがあるなら、まずは相手の状況を鑑みないといけません。

大切なのは、何に意識が向いていて力んでいる脳みそを一旦ほぐして、

リラックスさせてあげることです。

 

理想(話を聞きたいという状態)

先に述べたように「"この話"を聞きたい」と聴き手が感じている状況が、

話を展開する基盤としては理想的です。

 

まぁ「"この人"の話を聞きたい。」と思わせることができるなら、最高でしょうが。

(そのためには、自分自身を売り込む別のアプローチが必要ですが。)

 

話したい、眠りたい、読みたいなどなど人の欲求は様々です。

そういった様々な欲求を聴き手から取り除き、その意識が話し手に向けられた状態。

「この情報は自分に必要だ、役立つ、興味深い」と聴き手自らが襟をただす状態。

 

この理想の状況を作り出すのが、話し出しの際におこなう「導入」です。

「導入」は本論を展開するまえに、聴き手の意識を整える時間になるわけです。

 

解決方法:導入時にフッキングを実行

フッキングとは、釣り用語です。

魚を釣り針にひっかけること、エサに食いつくことをフッキングといいます。

 

授業・プレゼンでは、聴き手が話題に食いつくように導入をするわけです。

導入を構成する要素は大きく分けると3つの段階に分かれます。

 

★導入の中身(注意・興味・欲求)

  • 1:聴き手の注目を集める
  • 2:聴き手の興味を生み出す
  • 3:聴き手の欲求を高める

 

この3つが実現できれば、フッキングは完了で、

聴き手は話を受け入れる体勢になっているはずです。

 

ちなみにこれは営業のクラシックなフレームワークで、

有名なAIDMAに基づいた考え方です。

AIDMAの詳しくはこちら。

gms.globis.co.jp

この Attention(注意); Interest(関心); Desire(欲望)を利用します。

1:聴き手の注目を集める

授業やプレゼンにおいては、結構簡単です。

営業やマーケティングならばこの段階でかなりの労力を必要とします。

本当に見ず知らずの他人にコミュニケーションを取ろうとすると、

一筋なわではいきませんので。

 

ただ、授業などであれば物理的には聴き手と話し手は空間を共有していますし、

そもそも元来、聴き手は話を聞きにその場にきています。

潜在的には聴き手は話を聞く気があるが、一時的にそのことを忘れているだけ。

というわけです。

 

したがって「今は話をきく時間だ」と思い出させることが話し手の任務です。

雑談やスマホに向けられている意識を、聴き手のなかから取り除きます。

【TODO】彼ら(聴き手)の意識のベクトルを0(ゼロ)にする。

方法は問いません。

聴き手が今おこなっている行動・動いている思考を停止させればOKです。

大きな声で挨拶が適当でしょう。

「おはよう」「こんにちは」「授業をはじめるよ〜」

とか単純なもので構いません。

 

ポイントは、メッセージ、音量や音圧などによって

聴き手になんらかの感情を抱かせることです。

もちろん「話を聞かなくては。」がベターですが、

「声でかい。」「うるさいな。」とかでも全然かまいません。

それまでどこかに向いていた聴き手の意識を、一旦途切れさせることができれば

目的は達成です。

2:聴き手の興味を生み出す

ここでは話し手側のこちらに向ければ目的は達成されています。

話題について、かるい興味・関心を聴き手に持たせましょう

「話に興味を持たせる」って難しそうな感じもしますが、意外と単純です。

「×××って知ってる?」「×××って好き?」と本日のテーマに関連した質問をするだけです。

人間の脳の習性上、耳に入ったことはイメージせずにはいられません。

脳が思考していない”ゼロの空白状態”で質問されれば、その質問の答えを自然に考えてしまうわけです。

聴き手の脳内を、授業のトピックで埋めてしまえばこの作業は完了です。

【TODO】彼ら(聴き手)の意識のベクトルこちらに向ける。

「×××って知ってる? 一般には○○○っていわれているが、実は●●●なんだよ」

「×××って好き? ○○○効果があるらしいよ」

と少し情報を追加することで、より聴き手の思考を促進させることができます。

3:聴き手の欲求を高める

前段階"2"の中盤になってくると、聴き手側の内部で価値判断が発生します。

「こいつが話している内容は有益か?自分は興味があるか?」

と聴いた話の内容を吟味しだします。

このフィルタリングが完了してしまうと、

聴き手は情報をシャットダウンしてしまう可能性があります。

「この情報は自分に無関係だ。どうでもいい。聞いても面白くない。」

と断定されたら、そこで聴き手は先ほどの作業に戻ってしまいます。

 

雑談、スマホ、睡眠。

 

彼らは自らの欲求に正直です。

それを食い止めるためには、かれらに価値を提供しなければなりません。

もう少し正確に言うなら、「この情報には価値があると聴き手に思わせる」必要があります。

「この情報は自分に必要だ、役立つ、興味深い」

と聴き手に思わせる必要があるわけです。

 

多少、大ぶろしきを広げることになっても構わないので、

キャッチーな売り込みをするといいでしょう。

では具体的にどうするか。

【TODO】情報と聴き手を結びつけ、情報の有益性や価値を聴き手に提示する。

ステップとしては以下3つの情報を提示します。


<1>トピックの概要説明

<2>聴き手の身近にある事象と関連づける

<3>その事象で利益が出せることを伝える


例示を書いてみましょう。

例1)経済学において「需要と供給の法則」を教えるケース

「需要と供給」ってみんな聞いたことある?..................<1>

ある人は挙手をお願い。

この「需要と供給」って、簡単に言っちゃえば「ものの値段の決まり方」なわけよ。

みんなが何か買うとき「めちゃ欲しいけど、値段たけー」とか思うことない?.........<2>

その高い値段を決めている仕組みがこれ「需要と供給」。

この法則を理解できていれば、今までより欲しいものを安く買えるかもよ。...........<3>

ってのが今日の話。

今度は情報の順序はことなる形式。

インパクト重視のバージョンです。

例2)数学で「関数」を教えるケース

モテたいなら、関数を理解したほうがいいよ!!...........<3>

「”関数”ってなによ?」ってなるよね。難しそうな印象をうけるかもしれないけど、

みんなの身近なところに、関数ってあふれてるんよ。.........<2>

たとえば、前日夜ねないと、次の日はねむたくて元気がないよね。

これ関数。

友達とはたくさん話すと、仲良くなるよね。

これも関数。

あるものが増えたり減ったりすると、その影響をうけて別のものが変化する。

この関係性を関数という。.........<1>

ある要素の変化が、別の要素の変化にどんな風に影響しているのかを、

関数は明らかにしているわけ。

だからモテたいなら、関数を理解したほうがいいよ。

モテるって状況をつくるには、いろんな要素、髪型、ファッション、話し方、振る舞い、性格 などなどいろんな要素が影響している。

そのなかでも、めっちゃ影響があるものと、そんなに関係ないものがある。

性格はそんなに関係ないけど、外見はすごく重要。とか、

どんな仕組みになっているかは、その関数をつくってみれば一目瞭然だもの。

聴き手が

「さらに詳しく聞きたい。」「それってどういうことだろう? もっと聞きたい。」

と思うような情報を提示することで、

授業やプレゼンを聴く動機を彼らのなかに生み出します。

こうやって聴くことの動機付けまでができれば、導入の目的は達成です。

 

あとがき

導入を工夫すると、その後の教室・会場の雰囲気はけっこう劇的にかわります。

むやみに本題に入るなんてことはせず、

まずはしっかり聴き手の気持ちをほぐすところから始めてみてください。

全部は保証できませんが、

フッキングできれば7割方の聴衆を話に魅きつけることは可能です。

 

心に夢を君には愛を/ギラ☆ギラ(通常盤)

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アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

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